4-3 ISTEA事業に対する補助金(Intermodal Surface Transportation Efficiency Fund)
連邦全域にわたって各輸送モードを総合的に開発するため、1991年、複合一貫輸送効率化法(Intermodal Surface Transport Efficiency Act of 1991) が施行されたとこれにより、連邦運輸省は、全国の輸送ネットワークの長期的計画を策定し、陸運、海運を統合した一貫輸送体系を構築する事となり、これに必要なプロジェクトの調査、必要な事業への補助を行うこととなった。
ISTEAによる補助金を受けて実施されている調査及び事業は、港湾における鉄道積み替えヤードの整備等に関するもので、オークランド港の海軍跡地利用、ロサンジェルス港・ロングビーチ港から内陸への道路・鉄道30kmを改良するアラメダ回廊プロジェクト、タコマ港での鉄道積み替えヤード整備、ポートランド港(オレゴン州)での鉄道橋改良事業、マイアミ港での開発調査等がある。
5 ポートオーソリティの港湾整備財源
ポートオーソリティの権限は、州の憲章あるいは市の憲章で定められており、ワシントン州及びオレゴン州では、ポートオーソリティに課税権を認めている。この港湾税は、港湾行政区の住民が所有する資産に対して一定の割合で賦課されるもので、港湾行政区が一つあるいは複数の郡の範囲と一致するため、郡の資産税の徴収と併せて行われている。税率は、シアトル港では1,000ドル当たり28-29セント、タコマ港では18-19セント、ポートランド港では8-9セントである。1995年の港湾税収入は、シアトル港35百万ドル、タコマ港6百万ドル、ポートランド港7.4百万ドルであり、それぞれ、港湾営業収入に対する割合は、50%、12%、15%となっている。
アメリカ港湾協会(AAPA)が実施した米国主要55港の財務状況の調査によれば、1994年の地域別港湾収支は、図表4-3の通りである。大西洋岸北部港湾及び五大湖港湾では、営業収益で赤字、その他は黒字を計上している。営業収入に対する減価償却前営業収益では、太平洋岸南部の港湾が57.8%で極めて大きく、収益力の高さを示している。
港湾税による収入はすべての地域で見られるが、ガルフ地域および太平洋岸北部の港湾で多い。州や市からの補助金も多くの地域で見られるが、太平洋岸南部の港湾では、逆に市への納入が行われている。
カリフォルニア州では(市がポートオーソリティから、消防、警察等のサービスに要する経費として港湾部門行政経費を徴収しており、1995年の徴収額は、ロサンジェルス港で33百万円、ロングビーチ港で5.2百万ドル、オークランド港で5百万ドルであった。ロサンジェルス港の33百万円のうち、20百万円は市の一般行政経費に対する負担であり、州の土地委員会から、干潮帯の土地は1911年の州法で市に無償で利用させることとしているが、20百万円の徴収はその法律に違背するとして、ボードにその支払いの凍結を求めた。1996年11月現在、まだ決着していない。