3 港湾管理運営の変遷
3-1 民営港湾
19世紀初頭から19世紀末までは、民間資本による港湾開発(運営が一般的であり、公共部門は港湾の開発、運営にほとんど関与していなかった。民営港湾は主に鉄道会社により整備、運営されはじめたが、一企業が港湾のすべてを所有したため独占の弊害が顕著となり、たとえば、利用料金がマーケットの負担しうる上限まで引き上げられるようになるなど、貨物流動を阻害する方向に働きはじめた。
一方では、近くの港で同じような投資をして施設の過剰供給となったり、大型のターミナルが必要であるにもかかわらず、資本不足のために需要に見合った大きさの施設が整備されないなどの事態が出現した。特に大きな障壁となったのは次の4点である。
民営港湾で生じた障壁
1] 港湾の独占から派生する障害(高料金、低サービス)
2] 過当競争から生ずる過剰投資、施設の重複、低利用
3] 民間ターミナルが複数ある場合、その調整の不足
4] 港湾施設投資に対する資金不足
このため、19世紀末になると、経済の成長のためには、海上輸送費を低減させることが必要であるとの認識が高まり、港湾サービスの供給に関する人為的な障壁を取り除こうとする政策が取られるようになった。19世紀後半から、公共的に港湾を管理するポートオーソリティ設立されるようになり、19世紀中に以下の5港のポートオーソリティが設立された。
Galveston wharves (Texas), 1854
The Board of State Harbor Commissioners of the San Francisco Harbot 1863
The New York Department of Docks, 1870
The Port of Portland Commission (Oregon), 1891
The Board of Commissioners of the Port of New Orleans, 1896
3-2 公共港湾への移行
公共港湾は、民営港湾よりも次のようなメリットがあると考えられ、19世紀末から港湾を公共的に管理するポートオーソリティが設立されはじめた。公共港湾の管理主体としては、州、郡、市の部局、あるいは、その管轄するオーソリティがあたることとなった。