7.4 まとめ
試験車両の営業走行試験結果および排出ガス測定結果をもとに、共同輸配送にCNG車を導入した場合の、NOx及びPMをはじめとする各種排出ガスの排出量削減効果について、共同輸配送実施による削減量と共同輸配送にCNG車を使用することによる削減量とに分けて試算した。あわせて、アイドリング時間を低減することによる環境改善効果をディーゼル車とCNG車についてD10・15モードを基準にして検討した。
今回の試算条件では共同輸配送をしないディーゼル車と比較し、共同輸配送にCNG車を導入すると、地域環境に影響する排出ガスに関し、NOxは約70〜95%、COは約19〜88%、HCは約37〜92%、PMはほぼ100%近く改善される。試算結果より、CNG車は、共同輸配送と合わせ特に、NOx、PMに大きな改善効果があることがわかった。
地球温暖化効果ガスとして、CO2、N2O、CH4を対象とし、N2O、CH4の温暖化係数をCO2に換算して地球温暖化効果ガス排出量を試算した。その結果、共同輸配送をしないディーゼル車に比べ共同輸配送にCNG車を導入すると、CO2は約22〜63%削減すると試算された。但し、共同輸配送による走行距離の削減効果は約13〜63%であり、ほとんどが共同輸配送による効果である。
N2O、CH4の排出量はCO2換算でせいぜい全換算CO2排出量の1%程度であり、地球温暖化効果ガスへの寄与度は非常に低かった。
アイドリング時間が半分になった場合、D10・15モードでディーゼル車の場合NOxは約4%、COは約5%、HCは約4%CO2は約3%の低減効果があると試算された。CNG車ではNOxは約0.4%、COは約5%、HCは約2%CO2は約6%の低減効果があると試算された。NOxの低減効果が低いのは、逆に言うとCNG車のNOx排出量がディーゼル車に比べ大幅に低いためであり、アイドリング時間が長い使い方の場合には、ディーゼル車よりCNG車が環境に与える負荷がより小さいことを意味するものである。