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5.3 実用性に関するまとめ

 

(1) 運転性

エンジンの始動性、エンジン安定性、加速性はディーゼル車とほぼ同等であった。試験期間中、運転性に関する変化はなく、ディーゼル車と比べ、振動、騒音、排気ガス臭について運転者から良い評価が得られた。従ってCNG車自体の運転性に関しては大きな問題はないと考えられる。この営業走行試験における車両の不具合発生率は低く、今回のような営業運行の範囲であれば性能上十分に使用可能であると考えられる。

(2) 実用性

車両に関する実用性としては、燃料圧力ゲージの表示が不安定、排気ブレーキが未装備で坂道で運転しづらい、発進時にエンストしやすい等従来のディーゼル車とは異なる細部の構造部分に基づく指摘があった。実際の営業走行においても燃料系に関する車両メンテナンスを行っており、細部にわたるCNG車のさらなる品質向上が期待される。

D10・15モード(平均車速22.7km/h)での排出ガス測定結果を用い、CNG車とディーゼル車の燃料消費率、エネルギー消費率及びエネルギー消費率比を比較した。ディーゼル車の燃料消費率7と98km/Lに対し、CNG車の平均値は、6.88km/Nm3であった。従って、市場で使用されている燃料単位(L、Nm3)で比較すると、得られたデータの範囲では、CNG車のほうが、約14%燃費が悪いことになる。軽油とCNGの低発熱量の差を考慮して、エネルギーベースで比較するとディーゼル車のほうがエネルギー消費率は約35%低かった。従ってCNG車の燃料消費率向上が課題であり、たとえば、高圧要素部品等の軽量化による車両重量低減、シリンダ内直接噴射方式、ハイブリッドシステム等さらなる革新的な技術開発が期待される。

車両を使用するにあたっての実用性に関する事業者からのアンケート結果は、燃料充填の利便性に関するものが多かった。事業所から充填所までの距離、充填所の数、充填所の営業時間等の充実により改善される部分であり、今後のインフラ整備が望まれる。

天然ガスの急速充填所は、この調査事業が開始された平成7年度は大都市を中心として全国で34ヶ所であったが、平成11年2月3日現在では65ヶ所と約2倍に増加している((社)日本ガス協会調べ)。平成12年には200ヶ所以上の天然ガス充填所整備が計画されており、今後、さらにインフラが整備されるに伴いCNG車の普及が促進されると考えられる。

 

 

 

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