3.3 まとめ
CNG車の実用性をより詳細に把握するために、ディーゼル車との比較を行う目的で試験車両に同乗し、走行実態調査を実施した。また同様な条件で比較を行うために、特に関西地区ではCNG車の同乗走行状態に可能な限り近づけた形でディーゼル車について同乗調査を実施した。
今回の同乗調査で運行記録からは得られない走行実績(積荷、積卸し状態、平均車速、アイドリング時間、停止回数)に関する情報が得られた。積荷、積卸し状態、アイドリング時間、停止回数等に関し、ディーゼル車との比較で、実用性における大きな差異は感じられなかった。
各同乗調査における平均車速は異なるものの、平均車速で燃費を整理すると今回の調査範囲ではディーゼル車の燃費が優れていた。CNG車の燃費は約4〜7km/Nm3であったのに対し、ディーゼル車の燃費は約5〜10km/Lであった。いずれの車両も、燃費と平均車速との相関関係がみられた。即ち、平均車速が高いと燃料消費率が低い。また、燃費は、運行中の車両停止回数が増加すると悪化する傾向も見られた。
CNG車、ディーゼル車とも停止回数が減ると平均車速は指数関数的に増加する傾向があった。このため、停止回数が少ない走り方の場合平均車速が上がり、結果的に燃費が向上すると考えられる。
平均車両総重量と燃費の関係を検討した結果、同乗調査日における平均車両総重量の範囲では、平均車両総重量が増加すると燃費は悪化する傾向が見られた。
CNG車の車両重量はディーゼル車よりも平均的に500kg前後重いことから、CNG車の車両重量が大きいことによる燃費悪化への影響がある。同乗調査日のデータから、CNG車の場合、約500kg車両総重量が増加することで、走行燃費が約0.8km/Nm3悪化すると試算された。高圧要素部品の軽量化等CNG車の車両重量を軽量化することが燃費改善につながると考えられる。