3 この調査事例におけるCNG車の実用性
(1) 運転性
6台の試験車を用い、29万km以上の営業走行試験を実施した。その間、運転性に関する大きな問題はなく、今回のような営業運行の範囲であれば、CNG車は性能上十分に使用可能であると考えられる。振動、騒音、排気ガス臭に関してはディーゼル車より良い評価が得られた。
(2) 実用性
実用性については、燃料補給の問題を考慮する必要がある。今回の事例では、6台の試験車の営業走行試験における1日あたりの走行距離は約50〜180kmであった。その結果、6事業者のうち3事業者は毎日充填を行っており、走行時の燃料切れの不安に対し一段と配慮する必要性が見られた。
車両に関する実用性としては、燃料圧力ゲージが必ずしも残量を表示しているとは限らないため不安がある、排気ブレーキが装着されておらず坂道での運転がしづらい、発進時にエンストしやすい等、従来のディーゼル車とは異なるCNG車特有の構造に起因する事項に対する指摘があった。CNG車のさらなる品質向上が期待される。
D10・15モード(平均車速22.7km/h)による排出ガス試験の測定結果より、CNG車とディーゼル車の燃料消費率、エネルギー消費率、エネルギー消費率比を比較した。表1に示したとおり、燃料消費率はディーゼル車7.98km/Lに対し、CNG車の平均値は6.88km/Nm3であった。従って、市場で使用されている燃料原単位(L、Nm3)で比較すると、得られたデータの範囲では、CNG車のほうが、約14%燃費が悪いことになる。軽油とCNGの低発熱量の差を考慮してエネルギーベースで比較すると、ディーゼル車のほうがエネルギー消費率は約35%低かった。高圧要素部品等の軽量化、CNG車の燃焼技術の改良等による燃料消費率向上が課題である。