・添加装置を設置するより、手作業による添加の方がコスト的に有利である。
・着色剤の添加によるコストアップ額は、手作業により添加し、ドラム配送をする方法が最も低いが、ドラム配送によるメタノール燃料のベース価格が高いので、現実的ではない。
・手作業による添加の場合には、メタノール燃料取扱量が増えてもコスト低減はしない。
添加装置による添加の場合は、メタノール燃料取扱量に対応し、コスト低減が可能である。
・現行取扱量から数倍程度の範囲では、1リットル当たり約2.9円上昇すると推定される。
従って、現時点では二次基地においてタンクローリーを化学用のメタノールローリーと共用にし、手作業による着色剤添加による方法が最も有利と考えられる。その場合、コストは、現行取扱量では、1リットル当たり約2.9円(現行価格43円/Lに対し6.7%)上昇すると推定される。
5 まとめ
約3年にわたる机上検討、品質、安全性確認試験及び実証試験の結果等調査した範囲では、メタノール燃料の着色剤としては、Acid Blue 9(通称:AB9)が最も適していることがわかった。着色を行う場所は、現在の供給ルートにおける二次基地において手作業による添加がコスト的には有利であり、その際のコストアップは現行流通量から数倍程度では2.9円/L(現行価格43円/Lに対し6.7%)と推定される。
なお、この事業での調査検討は、現時点でメタノール燃料に着色することを前提に行ったものである。将来、メタノール燃料の需要と供給量が拡大した時点では着色剤の添加プロセスは機械設備による方法に移行することにより、コストは大幅に低減できるものと予想される。今後の実用化が期待されている自動車用メタノー燃料電池等の新たな動力源が実用化されれば、需要拡大がさらに進むであろう。その場合には、一般用メタノールとの識別方法に関しては再度検討することが必要になる可能性もある。この報告書が、そのような状況にも対して先陣的な役割をも担い、将来の自動車用燃料技術の一助となることを期待したい。