Dr.Roberta J.Nichols(元フオードモーター社)
将来にわたり、アルコール燃料は自動車に適用可能かどうかについて以下の内容の講演があった。
アルコールは、資源量が豊富なので長期的観点では有望な代替燃料である。また、水素キャリアとして使用可能であり、環境にも優しく、石油燃料と競合可能である。現在、普及しない理由は、インフラがない(インフラの不足)からである。アルコール燃料の成功の条件として、インフラが十分になること、価格が安定すること、石油産業の参入があげられる。
Dr.Olf Nils Nylund(VTTフィンランド)
アルコール燃料の将来について講演された。代替燃料を導入しなければならない理由は、エネルギー安全保障、環境問題である。将来は再生可能なエネルギーが必要になるのでバイオ燃料は必要になる。
但し、現在の状況(石油価格の動向、アルコール自動車の技術レベル)ではアルコールを推進する理由は見あたらない(含酸素燃料にしてブレンドする場合は別)。
2)発表論文の内容
いわゆる従来の内燃機関をベースにしたアルコールエンジン、車両の開発は一通り終了しており、それらの研究開発論文は少なかった。アルコールの製造方法、普及政策に関する論文が比較的多かった。
日本からは、中国に続く数の発表論文数があり、自動車用アルコールの分野での研究は世界的にみると活発である。
なお、(財)物流技術センター運輸低公害車普及機構は、平成6年度から平成9年度にかけて実施した、自動車用メタノールの着色方法に関する調査研究を発表した。研究概要及び発表論文を次ページ以降に添付した。詳細については、「低公害・代替燃料自動車の普及促進に係る調査研究報告書[自動車用メタノールの着色方法に関する調査研究](平成10年3月(財)物流技術センター運輸低公害車普及機構)」を参照されたい。
ニートメタノール(M100)の着色方法について、長期間の貯蔵試験、変異原性試験、排出ガス試験、路上走行試験を行った例は世界的にも少なく、この分野において、貴重な貢献がなされたと考えられる。