窒素酸化物測定の反復姓は最高のものであった。標準偏差は平均でわずか2%であった。テスト・バッグの中の窒素酸化物濃度は信頼に足る結果を与えるにはまったく十分なものであった。
6.4.2 ガス状規制エミッション
各定常状態の負荷ポイントでの排出ガス測定の数値結果は付録6に表示してある。セタン価向上剤を加えた、あるいは加えていないテスト燃料のエミッションは図22に5つの定常状態モードの平均で表示されている。
CEC燃料(第6.4.1章)に関する安定性テストから、テスト・バッグの中の一酸化炭素濃度は低すぎて信頼できる数値を得ることができないことが判明し、そのためここでは二酸化炭素は検討されていない。
さまざまな燃料間の品質の最も重要な違いは、エタノール燃料からの極めて高い炭化水素の排出であった。これは他の燃料からの炭化水素の排出と比較して3倍多い結果である。他方、実際の生活でのテスト・サイクルであるFTPテスト(第10章)ではCEC燃料と比較して炭化水素の排出はほぼ40%の増加にとどまっている。その理由として、エンジンから排出される炭化水素のレベルがエタノール燃料については非常に高く、酸化触媒装置がそれらを酸化させることができないことを指摘できる。しかしながら、このディーゼル自動車の炭化水素排出レベルは非常に低く、相対的な増加でさえ絶対値(g/km)としては問題ないレベルである。いくつかの小さな違いが他の燃料に関して観察された。エステル燃料とCEC燃料との比較では炭化水素の排出は約10%減少した。セタン価向上剤はRME燃料とTME燃料とでは異なった効果が見られた。FTPテストでは、その結果は定常状態でのテストの結果とは逆の結果となった:RME20はCEC燃料より約10%高い炭化水素の排出を記録し、セタン価向上剤は排出を約40%減らした。
セタン価の低い唯一の従来の燃料であるASTM 2Dは他の炭化水素燃料より高い炭化水素を排出する傾向があり、このことは大型エンジンのテスト(第4章)においても同様の結果だった。SCD燃料の結果は炭化水素の排出に関しては問題なかった。
セタン価標準燃料のCnref60とCnref43では、従来の燃料よりはるかに高い炭化水素の排出が観察された。加えて、セタン価の高い標準燃料からの炭化水素の排出は、セタン価の低い標準燃料からの排出の2倍であったが、これは予想とは逆の結果であった。この理由は標準燃料の低い揮発性に求めることができる。セタン価の高い燃料はセタン価の低い燃料より高い沸点を持つ。セタン標準燃料は先進の小型ディーゼル自動車には不適と見られる。CFRエンジンは揮発性に敏感でなく、エンジン速度は4気筒の自動車のエンジン速度に比べ非常に低い。
窒素酸化物の測定は非常に正確であったにもかかわらず、その排出に関してはテスト燃料の間に重要な差異はなかった。エタノール燃料が大型エンジンで使用された時、窒素酸化物の排出