第1部 常温におけるエミッションおよび燃焼特性
4 大型エンジン・テスト、VOLVO THD 103 KB
4.1 大型エンジン、VOLVO THD 103 KB
エミッションおよび燃焼特性に関する大型エンジン・テストの大部分はVOLVO THD 103 KBバス用エンジンで行われた。このエンジンはEuro 1排出レベルで設計されているにもかかわらず、排出ガスの規制であるEuro 2の制限にも適合している。粒子状物質の排出のみがわずかにEuro 2の制限を超えている。酸化触媒や粒子状物質フィルターが使われればEuro 2の基準も同様に満たすであろう。酸化触媒なしの粒子状物質の排出は、Euro 2の制限値である0.15g/kWhに対し、約0.15-0.20g/kWhである。VOLVOエンジンは通常の室温で運転された。
エンジンの特性は以下のとおり:
型式:VOLVO THD 103 KB、水平バス・エンジン、1992年
ターボ・チャージャー
直接噴射
直列ポンプ(半電子制御)
インタークーラー(水/空気)
排気量:9.6リッター
シリンダー:6気筒、直列
出力:210kW/2000rpm、1200Nm/1300rpm
圧縮比:19:1
4.2 試験法および設備
ECE R49試験法
大型エンジンのテストはECE R49の試験法に従い実施された。これにはさまざまなトルクや速度レベルによる13種の負荷モードが含まれている(図3)。
ディーゼル・エンジンの噴射ポンプは体積ベースの燃料噴射量で運転される。例えば、低い芳香族の成分を持つ低い比重の燃料は、高い比重の、高い方香族の成分を持つ燃料より少ないパワーしか生み出せない。これらの燃料をお互いに比較する時、出力が同じになるようにすること、つまりしばしば「一定トルク」法と呼ばれる方法を利用することが合理的である。
最も低比重のテスト燃料であるエタノールを含んだEtOH15が「一定トルク」のベース燃料として選ばれた。EtOH15で得られたトルク値は他の燃料に対しても使用された。EtOH15による最大出力は180kW/2000rpmで、最大トルクは1060Nm/1300rpmであった。