表23に示されているように、超低排出ガス自動車およびゼロ排出ガス自動車の基準を低排出ガス自動車の基準に後退させても大きな影響はなかった。反応有機ガスの削減はオゾンの改善につながるが、窒素酸化物の削減は必ずしもオゾンの改善につながらないとの観察が行われている。
4.2.3 代替燃料に関するノースカロライナ大学におけるスモッグ・チャンバー研究
ノースカロライナ大学(UNC)の研究者は、圧縮天然ガス、液化石油ガスおよびE85のオゾン形成と業界の平均ガソリンのオゾン形成とを比較するために、日中にわたり並行して、戸外・スモッグ・チヤンバー実験を実施した(Jeffries氏、Sexton氏、およびYu氏、1997年)。比較テストは2つから3つの異なった基本線の大気成分の比率に関して繰り返し実施された(炭化水素:窒素酸化物)。追加的な研究の部分は、数学的にオゾン形成をモデル化するために使用されるCarbon Bond Four光化学反応メカニズムに関する実験データの比較であった。このCB4メカニズムはシミュレーション研究のための都市型Airshedモデルに使用された。
圧縮天然ガスは6:1および9:1の基本線大気成分(炭化水素:窒素酸化物)に関してテストされた。液化石油ガスは6:1の基本線大気成分でテストされた。液化石油ガスはこのケースではガソリンよりはるかに少ないオゾンの形成にとどまった。E85のテストは3つの基本線、4.5:1、6:1および9:1で行われた。E85は4.5:1および6:1の炭化水素:窒素酸化物の比率ではガソリンより多くのオゾンを形成したが、9:1の場合には同量のオゾンの形成にとどまった。研究者はE85に関してさらに作業を行ない、排気ガスの中のアセトアルデヒドはガソリンの場合以上にオゾン形成の増加に起因するものであると断定した。
都市型Airshedモデル・シミュレーションに関する実験データの比較を通じ、CB4メカニズムはこれらの実験結果のすべてを再確認した。

この研究は第3章の2に詳しく述べられている。この報告書は地球規模、地域的、および地方的な環境への影響に関係する情報を含んでいる。このため、地域的および地方的な大気の質の影響がここで再度要約される。発電が主に非化石燃料により行われる国々においては、地方的、地域的、および地球規模の影響は内燃機関自動車に対するものより低い。しかしながら、発電が化石燃料により行われる国々においては、地方的なエミッションはより低いものの、地域的な影響は内燃機関自動車に対して同じか、より大きなものとなる。