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1. 序文と成果の要約

 

最初は1970年代および80年代の石油ショックを契機として、またその後は環境問題を緩和するための代替燃料の可能性の検討を契機として、この20年間で、自動車用代替燃料への関心が再び高まってきた。ここ数年、運輸部門への代替燃料導入を法制化する動きが世界的な流れになってきた。この動きの底流には、自動車用代替燃料が住民の健康や地域および世界の環境問題に利益があるばかりでなく、石油の需要を緩和することでエネルギーの安全保障にも資することができるという認識がある。

多くの場合、研究の結果や使用に基づくデータから、代替燃料は環境問題の解決に有効であるとの示唆が選れている。しかしながら、世界的にすべての代替燃料がすべての環境問題に対応できるものでもなく、また必ずしもすべての代替燃料が役に立つというものではない。この状況は、運輸部門に代替燃料を導入した場合の実際の影響に関し、多くの議論と論争を引き起こした。

いまだ結論は得られていないものの、政府は地方や地域および国のあらゆるレベルにおいて、代替燃料を運輸部門で使用することを求める計画を履行しようとしている。1988年米国自動車用代替燃料法および1990年修正大気浄化法はその好例である。この2つの法律だけで、米国において2000年までに少なくとも20,000台の代替燃料を使用する乗用車およびトラックが導入されることが予定されている。さらに、最近の修正米国大気浄化法は、2000年までに米国において非常に多くの数の小型および大型自動車で使われる「クリーンな燃料」(代替および改質燃料)の導入を求めている。

代替燃料に関して現在行われている議論から、さまざまな燃料の相対的なメリットの理解を目的とするものや、議論の中で究明されていない事項を可能な限り解決しようという目的の研究が非常に増えてきている。その好例が米国の「オートオイル研究」であり、ここでは改質ガソリンや従来のガソリンと同様、代替燃料を含めたいくつかの燃料の環境へのメリットに関する問題を解決することが目的とされた。その他の努力では、概して規模は小さいが、個々のスポンサーとしての機関の必要に応じ、数々の環境問題を解決しようという試みがなされている。

 

 

 

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