第4章 アネックスの成果報告書
4.1中間段階での成果-アネックス13-
現在、研究が進行中で成果があがりつつアネックスとしてアネックス13がある。
植物は、その成長過程で二酸化炭素を吸収するので、植物から得られるバイオ燃料は再生可能なエネルギーである。このような燃料を石油に混合して用いれば二酸化炭素排出量の削減につながる。さらに、このような燃料は、いわゆる地域環境に影響する排出ガス(窒素酸化物、微粒子等)改善にも効果がある可能性がある。このアネックスの目的は、バイオディーゼル燃料(植物油を軽油に混合した燃料)がエンジン性能及び地域環境に影響する排出ガスにどのような影響を与えるかを調査するものである。
このアネックスは97年にスタートし、98年は2年目をむかえた。興味ある結果が得られつつあるので、以下に研究の概要及び現在までに得られている一部の結果を報告する。なお、このアネックスは米国オークリッジ国立研究所(ORNL)とフィンランド技術研究センター(VTT)により実施されているが、ここでは具体的成果が出つつあるVTTの研究状況を報告する。
アネックス13 バイオディーゼル燃料のエミッション
中間結果
試験対象の燃料
試験対象となる基本の燃料は8種類である。ブレンドの材料のひとつは、セダン価の高いカナダの水酸化トール油である。バイオエステルおよび水酸化トール油は、硫黄を約500ppm含む欧州または米国の典型的なディーゼル燃料とブレンドされる。
VOEには、なたね油メチルエステル(RME)や大豆メチルエステル(SME)、使用済み植物油メチルエステル(UVOME)がある。
硫黄を500ppm含むディーゼル燃料の他に、参考としてスカンジナビアの改質ディーゼル燃料「クラス1」も使用する。
表1は、基本の燃料の性状を示したものである。
なお、現在までに調査を行った燃料は以下の通りである。
ベース燃料:ヨーロッパのEN590
スウェーデン環境クラス1燃料:RFD
30%RME混合のEN590燃料:EN/RME30
100%RME