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図4.4.1. 最大粒径19mmのPomalaa鉱の水分値と円錐貫入力の関係

 

3.2節に述べた現場実験結果に基づき、Pomalaa鉱について、水分値のクライテリアに対応する円錐貫入力を求めてみる。図3.2.2は、最大粒径19mmのPomalaa鉱における水分値と円錐貫入力の関係である。この図の各データを考慮して、水分値と円錐貫入力の関係をグラフにすると、図4.4.1が得られる。図4.4.1に基づけば、スロープ高さ3m、4m、5mの場合の水分値のクライテリアに対応する円錐貫入力は、それぞれ22kgf、26kgf、31kgfであることが分かる。

表4.4.1は、円錐貫入力のクライテリアを昨年度の実験結果に基づくもの(昨年度報告書-付録1-表5.4.1参照)と併せてまとめたものである。なお、数字はkgf単位で丸めた。

 

表4.4.1. 円錐貫入力のクライテリア

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この表からも、昨年度実施したTeoudie鉱及びGebe鉱の「実験室円錐貫入試験」の結果と比較して、本年度実施した最大粒径19mmのPomalaa鉱の円錐貫入力は大きいと言える。以下、その理由について考察する。

 

4.4.2. 最大粒径19mmの試料の円錐貫入力の違いに関する考察

昨年度の実験室円錐貫入試験(Teoudie鉱及びGebe鉱に関する実験)と、本年度の円錐貫入試験(Pomalaa鉱及びBoakaine鉱に関する実験)を比較すると、実験方法で共通しているのは以下の点である。

1] 試料の最大粒径(19mm)

2] 供試体の形成方法(試料の隙間を無くし、円筒形の供試体を形成したこと)

3] 円錐貫入力の計測方法(装置及び円錐貫入速度等)

よって、本年度と昨年度の実験において条件が異なるのは、試料の調製方法であると考えられる。

昨年度の実験では、試料を予備乾燥して篩い分けを行い、再度水を加えて水分を調製した。これに対して本年度の実験では、到着状態の試料をそのまま篩い分けして第1回目の円錐貫入試験(最大粒径19mm)を行い、さらに水を加えて実験を行った。このことは、本年度の円錐貫入試験は、試料の水分の変化少ない状態、即ち、実験の目的で試料に加えた水の量が少ない状態で実施したことを意味する。

加水量及び加水からの時間と円錐貫入力の関係については、昨年度24時間以内のスケールで、幾つかの実験を行い調査している(昨年度報告書-付録1-4.5節参照)。その結果、水分値増加で約1.5%に相当する量の水を加えた場合、加水からの時間とともに、円錐貫入力が増大した(昨年度報告書-付録1-図4.5.1参照)。一方、0.5〜0.7%に相当する加水量では、加水から2時間後に計測した円錐貫入力と、翌日計測した円錐貫入力に有意な差はなかった(昨年度報告書-付録1-4.5.4節参照)。しかし、篩い分けのために予備乾燥した試料に多くの水を加えた場合の、さらに長い時間スケールにおける剪断強度の変化については、データが得られていない。本年度の実験による円錐貫入力が大きかった理由の一つとして、実験のために多くの水を加えていないこと、即ち、試料が湿った状態になってから非常に長い時間が経過していたことも考えられる。

 

 

 

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