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要介護者自身の意見を聞くのはなかなか困難であるが、あるものは自分の年金と介護保険の現金給付が介護してくれている家族のものにまわっていることを知り、「それじゃ、まだ生きているかいがあるのか」と言う高齢者もいる。

確かに、介護保険をめぐる問題は、介護者も要介護者の多数も女性であることから、結局は女性問題だといわれる。ドイツでは1995年の時点で在宅介護の約80%は家族・親族が行っていた。その61%が配偶者だが、24%は娘が行っていた。また、79歳以上の高齢要介護者に限ってみれば、44%が娘、そして17%が嫁によって介護されているという数値がでている(Kuratorium:Rund Ums Alter...参照)。嫁が介護するのは日本よりは少ないにせよ、かなり高い割合といえよう。もっとも、図表36が示すように、1970年以降、女性の社会進出などにより、「娘-介護潜在力」は減少している。従って、今後は在宅介護サービスや施設利用者が増えるであろうが、概してドイツ人は各世代を通して、引越し嫌いが多いため(図表3738参照)、多くの高齢者は「できるだけ」自宅に居ることになるだろう。問題となるのは、高齢社会共通のもので、高齢者、とくに女性の一人暮らしの増加であろう(図表394041参照)。

 

図表36 ドイツにおける2040年までの「娘-介護潜在力」の推移

65歳以上の高齢者1,000人毎に対する45-60歳までの女性の数

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