1.4 今後の動向
(1)ヨーロッパ共通通貨による新しい「競争」による給付の平均化
ヨーロッパにおける通貨統一が進めば、物価、賃金だけでなく、社会保障給付についても統一化や近似化が進むと考えられている。現在は異なる国家間の社会保障システムが互いの良いところどりで、現実に合ったシステムに変わっていくことが予想される。従って、長期的には、税制度と同様に、「ヨーロッパ水準」が生まれて給付水準なども平均化されるのではないかと多くの関係者は予想している。
(2)少子化の進行と高齢女性の増大
現在の社会の「給付能力」とは直接関係ないともいえるが、将来の問題として多くの先進国の悩みは少子化の進行である。ドイツでは、1997年の末から約半年のわずかな間、ベビー・ブームの到来かと思われた時もあったが、間もなく出生値は元に戻ってしまった。図表13は1995年までの出産動向を示している。 とりわけ旧東ドイツの出産率が極めて低く、現状の出生動向を見るかぎり、今後20-30年後の高齢社会がピークに達した時、現行のような社会保障システムでは成り立たず、年金支給等に支障をきたすこととなる。