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1.2 最近の経済的政治的状況

 

(1)失業者と社会保障

この数年来、ドイツ経済は低調で、労働意欲のある者にさえも職業を十分に与えることができないでいる。失業率は12%以上といわれており、1997年の失業対策関係費は1,000億マルクも要したといわれている。(Handelsblatt,1998.7.11,頁8参照)

もっとも、「真」の失業者はどれだけいるかは、しばしば論議のあるところでもあり、「雇用借出処置」(ABM)以下の者、自分の資格以下の職業に就かない者、資格のない者など、その数も実のところは半分ぐらいではないかとみる見方もある。しかし、この高い失業率が失業手当等社会保障費の増大をまねいている。失業のため、社会保険料を支払わないが、医療や介護が必要であれば保障を受けるために、社会全体にとっては二重の負担となる。

(2)改革を困難にしている政治的配慮

いくら多くの者が社会システムのリストラや改革を提唱しても、現行の国の制度や政治システムの下では改革は困難なものになる。とくに最終決定が委ねられる議員は選挙に対する配慮があり、政党、政府、そして多くの利益団体が新しい改革案に対して意義ある対応を避ける傾向があるからだ。とくに、高齢者の生活に関する改革は難しい。図表3は、年齢層別の政党支持率ともいえるものであるが、保守政党であるキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)の支持者が高齢者に多いことを物語っている。

 

図表3 1994年の連邦議会選挙結果‐年齢と男女別(%)

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