要介護者の程度による区分の認定については、上述のとおり、この3年間では格下げが目立ち、特養では「程度0」、つまり介護保険給付の対象からはずされてしまった者も現れたが、その中には「痴呆性老人」が入ることもあったといわれている。
しかし、依然として、在宅介護給付の受給者(現金と現物給付を含めて)は、「程度I」が一番多い。日本式にいう「要介護度1、2、3」が在宅介護で多いということになろう。
施設介護給付の受給者の中には「程度III」から「程度II」に格下げ(サービスの削減)になった者が多いのは注目すべきであり、その中には「寝たきり老人」状態の者もだいぶ含まれているからである。日本の「要介護度の5」が「4」に格下げになったと考えてよいだろう(図表28参照)。なお、興味深いことに、要介護認定において、民間介護金庫の方が公的介護金庫より寛大であるといわれていることである。拒否される申請の数が後者の半分であった(図表29参照)。
介護保険の財政収支については、制度導入後現在までの3年間についてみると、毎年収入超過が続いている。しかし、1年目の1995年には収入のみで支出のない期間(「クッション」)が3か月あったことと、「介護保険」のサービス内容が国民にあまり浸透していなかったこともあったので、現在約100億マルクといわれている黒字も将来的には、今後減って行くものと見られている(図表30参照、1997年の数値は半年分なので注意を要する)。
ちなみに、黒字に乗じて、自営業者の利益を代表する自由民主党(FDP)が1998年の春、介護保険料率を0.2%減少せよと提案したが、他の政党に反対されて、すぐ撤廃している。また、1998年9月民間介護保険会社は、若い被保険者を対象に1999年1月より保険料率を下げることを発表している。