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4. 経済

 

スウェーデンが過去100年の間に貧しい一農業国から、世界でも最も豊かな先進国のひとつとして発展を遂げてきたことは明白な事実である。スウェーデンの経済政策の掲げる政策目標は安定した高度経済成長、完全雇用、低インフレと物価の安定、貿易収支のバランス、賃金格差の是正などにあり、不平等の縮小、生活水準の均質化、地域差の縮小が重要視される。

第二次大戦後、スウェーデン経済は急速な発展を遂げたが、1970年代に入るとその発展は停滞気味となり、他の先進工業国に比べると緩やかな成長カーブを辿るようになっていった。60年代の国民総生産(GNP)は4.6%であったのに対して、70年代には半分以下の2%へと下降していった。同時に、失業率、インフレーション、貿易収支の赤字も増えていったことが指摘される。OECD諸国と比較すると、70年から75年までのGNPの伸び率は同じであったし、消費者物価についても同様であった。ところが、70年代半ばの価格危機以来、成長率は伸び悩みとなり、OECD諸国より低い生産性を維持することになり、消費者物価は急速に上昇していった。

80年代に入ってもスウェーデン経済は相対的に弱く、EC諸国のGNPの伸び率が2.3%、OECD諸国のそれが3%であったのに対して、スウェーデンのGNP伸び率は平均して2%あった(図5)。OECD諸国に比べて、スウェーデンの生産性は75年から90年の間に平均して年間1.4%減少している。この期間、年間の価格上昇率はOECD諸国に比較してスウェーデンは2.7%上回っている。スウェーデンと諸外国の

 

 

 

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