はじめに
当エイジング総合研究センターは、わが国の高齢化社会対応の先行事例として、北欧・ヨーロッパの高齢化先進国における高齢者福祉対策等、高齢化社会に対する各国の対応対策についての調査研究を行ってまいりました。
1990年(平成2年)のデンマークを端緒とするスウェーデン、イギリス、ドイツ、フランス等の高齢者医療福祉対策、そしてスウェーデン及びフランスについては少子化と家族政策に関する調査研究、イギリスについてはボランタリーセクターの高齢化社会活動の調査研究等々を実施してまいりました。
しかし、この数年来、わが国と同様に各国の社会状況も変化し、その対策についても様々な改革がなされております。こうした各国の変化や改革は、わが国にとっても重要な事例であることから本年度は、これら各国の最近の変化や改革について、その実態を調査研究することといたしました。
ここに収録する研究調査報告は、それぞれ過去各年に研究調査を実施したスウェーデン(1992年に第1次研究)、デンマーク(1990年に第1次研究)、ドイツ(1995年に第1次研究)の高齢者福祉対策についての継続的第2次研究の成果をとり纏めたものです。
スウェーデン研究は、エーデル改革前後における施策の展開-高齢者に対する医療福祉行政とサービスの現状(ケーススタディを含めて)と高齢者ケアの将来と展望。デンマーク研究では、高齢社会対策としての社会保障制度と高齢者福祉の制度改革、自治体における高齢者福祉施策の動向等。また、ドイツ研究においては、最近のドイツの社会経済環境と公的介護保険制度の導入後の動向、等が主な内容になっております。
各国の研究報告者は第1次研究をお願いした方々で、スウェーデン研究は訓覇法子氏(ストックホルム大学研究員)、デンマークは伊東敬文氏(コペンハーゲン大学研究員)、ドイツは濱口クレナー牧子氏(ルール・ボーフム大学講師)がその研究成果を存分に発揮して下さいました。
ここに心からの謝意を申し上げます。
最後になりましたが、この国際研究プロジェクトの意義をご理解下さり、長期の継続研究としてご支援賜わります日本財団に対して深甚より感謝申し上げる次第です。
平成11年3月
社団法人エイジング総合研究センター
理事長 高木文雄