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5.エンジンのオバーヒート

 エンジン冷却清水の温度はエンジンの出口で通常75℃〜85℃程度に保たれるようになっています。しかし、何らかの事情で冷却水の温度がこの範囲を越えて上昇することがあります。その場合には直ちにエンジンの回転を下げるとともに、その原因を調べる必要があります。

(1) 冷却系統の不具合
? 水洩れ等による冷却水量の不足。点検や給水のために清水フィラキャップを開放する場合、蒸気が噴出することがありますので注意して下さい。
? 清水リザーブタンクに付いている清水フィラキャップが完全に閉まっていない。
? ポンプを駆動するベルトの損傷、または張り不足によるベルトの滑り。ベルトを新しく取替えるか、ベルトの張りを調整して下さい。ベルトが滑ることにより、ポンプの性能が下がり、冷却水量が少なくなります。
? 海水ポンプのインペラ破損。インペラを新しく取替える。小型機関の殆どはヤブスコ型のポンプを採用しています。常に予備のインペラを持っていることをおすすめします。
? サーモスタットの機能不良。
? 冷却水系統内部が汚れていて、冷却効果を阻害している。
 水垢や貝の付着、砂、汚泥の吸い込みなどによります。海水側は600時間毎に掃除することが必要です。
? 船底海水吸入弁(キングストン弁またはコック)の開度不良、またはゴミが海水吸入口を塞いでいる。
? 海水こし器がゴミで目づまりを起こしている。
 ※運転中、いつまでも冷却水温度が75℃〜85℃に上がらない場合も冷却系統の点検が必要です。
? 長時間の過ぎ負荷運転。
? 回転の上げ過ぎ。
※エンジンは全出力の90%くらいの「連続常用回転数」で運転して下さい。エンジンの耐久性、燃料の経済性からも好ましい運転方法です。

 

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