舵事故の場合、機関が正常であれば、仮舵による応急操舵は可能です。仮舵は船内にある物品等を利用し作成しますが、正常時の操舵と異なり舵効は著しく減少します。従って良い舵効を得るため、船型及び緊急性等を考慮して、最も有効と思われる仮舵を作成します。
(1) 応急操舵の前に
応急操舵を行うため、先ず直進性が十分確保されるかを確認します。直進性の良否が転舵時の舵効に大きな影響をあたえます。
?舵中央とする
故障時の舵角が左右(面舵・取舵)いずれかで固定された状態の場合、舵角が大きいほど直進性が損なわれます。可能な限り修復し、舵を中央の位置に戻します。
?船体傾斜
船体傾斜も直進性に影響を与えます。船体が傾斜している場合、重量物等を移動し船体を水平にします。
?推進器の回転方向を考慮する
推進器の回転方向が、応急操舵時の舵効に影響する場合があります。舵効が良いのは左転・右転いずれかを確認しておきます。