日本財団 図書館


=5.船体放棄と漂流=

 海難(浸水沈没・火災等)により、船上に残ることが出来なくなった場合、船体を放棄し、海上に脱出することになります。
 救命艇・救命筏を備えていないヨット・モーターボート等は、個人で海上に脱出漂流することになります。
 海上における漂流は人命保全の危険度が高く、退船を決断する場合は、周到な準備と的確な判断が要求されます。船体放棄はあくまでも最後の手段です。

(1)船体放棄の時期

 状況によっては、海上に脱出するまで自船が最も安全な救命艇である事を忘れないで下さい。船体放棄の時期は、直面している事態を総合的に判断し決断します。

 ?海難の程度

船体の損傷の程度及び応急措置の成否から、船体放棄に至る限界時間を判断します。

 ?状況調査

周辺海域の地形及び陸岸までの距離と、海上模様(風浪・潮流)1気温・水温・日出没時間等から、海上脱出後の安全性(危険度)を判断します。

 ?救助の可能性を判断する

救助機関との連絡の可否及び付近航行船舶の状況から、脱出後の救助の可能性を判断します。

 ?退船準備の時間

退船準備に必要な時間的限界を判断します。

 ?漂流時間の限界

使用可能な救命器材の耐性及び数量から、乗組員全員が安全に漂流できる時間的限界を判断します。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION