衝突海難は、船体の損傷による浸水沈没、衝撃等に起因する火災発生等、二次海難に移行し、事故が拡大する恐れがあります。特に、ヨット・モーターボート等の小型船は、排水・消火能力等に劣るため、迅速的確な対応が必要となります。
また、事故の形態についても、海洋レジャーの活発化と利用海域の競合により、従来の船舶相互による衝突海難から、対象が、水上オートバイ・ボードセーリング等、人身事故を伴う恐れが多い海難にまで拡大しており、事故発生時の対応も複雑化しております。
(1)事故発生直後の対応
衝突事故は、相互協力が必要不可欠です。損傷の程度から双方の緊急度(危険度)を判断し、必要な援助及び協力要請を行います。
?機関を停止する。
自船又は相手船等に船体が食い込んだ場合、推進力が損傷を拡大します。両船を引き離すため、不用意に後進すれば損傷の拡大と浸水量の増大を招き、最悪の場合、沈没の危険性があります。セーリング中のヨットは、セールを降ろします。余裕の無い場合、セールを風に立てます。
?人命異状の有無を確認します。
衝突時の衝突及び損傷により、落水者・怪我人の発生が予想されます。特に、水上オートバイ・ボードセーリング等については、人身事故発生の確率が高いので、早急に確認する事が必要です。
?応急措置の可否を判断する。
損傷箇所及び損傷の程度と浸水量を早急に調査し、応急措置の可否を判断します。