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体育科学センター第11回公開講演会講演要旨/運動中の事故死について


4.メディカルチェックからみた運動の可否
 以下メディカルチェックからみた運動の可否,運動の許容度について原則を列挙しておく.
(1) メディカルチェックにおいて急性の活動性の病気が発見されたら治癒するまで運動は中止し,安静を保つ.感冒,下痢といった程度のものでもこの原則に従う.単なる感冒と思っていても心筋炎などがかくされていることもある.
(2) 慢性の病気が発見されたら,重症度判定に基づいた運動処方を専門家に作ってもらい,その域を越えない運動を行う.
(3) 中高年者では特に競技会への参加は十分なメディカルチェックをうけた後に許可され,また自分のペース以上の競争を行わない.運動の目的は他人との競争にないことを中高年者は自覚すべきである.
(4) 中高年者はジョギング,ランニングなど歩いたり,走ったりすることが含まれる種目を選び,重い物を押したり,もち上げたりする種目をさける.後者は血圧を上げ,また不整脈を誘発し心臓に負担がかかる.
(5) 運動を中止しなければならない徴候を良く知っておき,その様な徴候があれば休む.中止徴候としては?胸痛,?強い息切れ,?強い疲労感,?めまい,?ふらつき,?冷汗,?顔面蒼白,?運動処方で決められた拍数を越えた時
 以上の様なことを念頭におき,何か普段と変ったことがあれば医師に必らず相談し,また,相談できる様な医師を作っておくことが事故対策として重要なことである.
 参考文献
1)日本学校安全会編:小中学校死亡事故事例集.昭和54年3月.

2)日本学校安全会編:高等学校死亡事故事例集一および死亡事故の留意点.昭和56年3月.

3)日本体育協会スポーツ科学委員会,昭和57年度スポーツ科学研究報告,運動による事故防止に関する研究一第2報.

4)講座現代のスポーツ科学3,黒田善雄編著,スポーツの医学,大修館書店1977,p273.

5)村山正博:からだの科学89:スポーツと健康,1979,p96.

6)日本体育協会スポーツ科学委員会,昭和56年度スポーツ科学研究報告,運動による事故防止に関する研究一第1報.

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