体育科学センター第10回公開講演会講演要旨/こころとからだ−体育科学の立場から−
こころとからだ
−体育科学の立場から−
松田岩男*
心身の関係については,一元論,二元論,平行説などのような哲学者による心身論,ゲシュタルト心理学派の提唱した心身同型説などがあるが,今日では,セリエ(Selye,H.)によって提唱されたストレス学説を基盤として発展した精神身体医学の実証的な研究が注目されている.すなわち,精神活動の電気生理学的研究,薬物の生理・心理学的効果に関する精神薬理学,ホルモンの生理・心理学的効果に関する研究などによって心身の関係が究明されつつある.しかし,ここでは,このような基本的な問題を取り上げるのではなく,からだの働きを運動に置き換え,こころの働きと運動との関係について考えてみたい.
1.運動と知能との関係
1)相関的研究
2)ピァジェ(Piaget,J.)の考え方
感覚運動的知能(自分と外界との交渉を通して,知覚と運動との関係をうまく協応させ,修正していく能力)を基盤として,概念的思考的知能が発達する.
表1 手先の運動と知能との関係
表2 知能優秀児の運動能力(6年生)
*上越教育大学
於:国立教育会館大会議室 昭和57年7月17日
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