日本財団 図書館


高齢者の歩行能力に関する体力的・動作学的研究(第2報)
−膝伸展,足底屈,足背屈の筋力と歩行能力の関係−

 2.アンケート調査
 本(平成10)年度体力測定に参加した高齢者69名全員に現在の健康状態,食事習慣,運動習慣および健康上の注意点などについてアンケート調査を行った.まず日常生活の健康状態に関する結果を表2に示した.昨年と比べ今年の健康状態,睡眠,病院に行く回数,血圧は全体としてほとんど大きな変化は認められない.この結果は,日常生活において昨年よりさらに健康に注意している人(38名)の方が変わらない人(21名)より上回ったことによるかもしれない.
 食習慣と運動習慣は昨年と比べほとんど変化していない(表3および表4).特にからだを動かす量が昨年と比べ増えたと答えた人(13名)の方が増えないと答えた人(8名)よりわずかに多くなっているが,日頃からできるだけからだを動かすよう努力していることが伺える.
 日常生活において病気にならないための注意点と食事における注意点をそれぞれ3つ選択した結果を表5に示した.まず病気予防のためには1)運動,2)食事,3)睡眠が重要な要因であることが推察される.また高齢者の場合には“なにごとにも無理しない”と答えた人(25名)が多かった.これらの結果は,高齢者自身が健康や体力の低下を実感して日常生活を過ごしていることが予測される.一方,食事に関しては,主に1)野菜を多くとる,2)満腹にしない,3)塩分をとりすぎない,4)三食きっちりたべる,5)好き嫌いをしないなどに注意している.これらの結果は,昨年とほぼ同様であった.
 日常生活においてからだを動かす(あるいは運動する)ように心がける高齢者は多いが,からだを動かす2つの注意点として,農作業,各種体操,歩行,庭の手入れと答えた者が多かった(表6).体カテストにおける長座体前屈,シャトルウォークの距離が2年間ほとんど変化しなかった理由の一つに日常生活で出来るだけからだを動かす努力を挙げることができると考えられる.なお行政に対し高齢者の健康・体力の維持,増進に関する希望として健康相談や講演会の開催(15名)あるいは健康の館や運動施設の新設(9名)などが挙げられていた.


Table 2. Health conditons in daily life



前ページ    目次へ    次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION