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中学校女子バレーボール部の部活動における運動量が体力に与える影響


 3.統計処理
 2グループ間における平均値の差の検定には対応のないt検定を用いた.練習中の運動強度や運動量と体力の関係については,ピヤスンの相関および偏相関を用いて表した.いずれもp<0.05を統計的に有意な水準とした.

 研究結果
 表1に形態計測の測定値を示した.1,2年群および3年群の身長はそれぞれ154.7±4.4cmおよび163.1±4.0cmで,3年群の方が有意に高かった(p<0.01).同様に,体重はそれぞれ44.9±8.3kgおよび52.9±3.5kgで有意差は認められなかった.皮下脂肪厚はそれぞれ27.0±7.5mmおよび37.4±5.7mmで,3年群の方が有意に大きかった(p<0.05).
 表2は体力測定結果について示したものである.握力,背筋力,垂直跳,全身反応時間,往復走および最大酸素摂取量については,1,2年群と3年群の間に差はみられなかった.脚伸展力は1,2年群が25.7±6.9kg,3年群が37.5±3.4kgであり,3年群の方が有意に大きい値であった(p<0.01).PWC170については,1,2年群および3年群がそれぞれ72.6±16.7Wおよび108.0±17.5Wであり,3年群の方が有意に高かった(p<0.05).
 表3は練習中のエネルギー消費量,心拍数および%Vo2maxの平均値と最高値を示したものである.エネルギー消費量については,全員を同じ日に測定することができなかったので,1時間あたりの値で示した.エネルギー消費量は,1,2年群が157.7±58.5kcal/h,3年群が233.5±11.1kcal/hであり,3年群の方が有意に大きかった(p<0.05).また,%Vo2maxの平均値も1,2年群が36.7±9.4%,3年群が48.5±4.5%と3年群の方が有意に大きかった(p<0.05).その他の項目では,1,2年群と3年群の間に有意差は認められなかった.
 練習中の運動強度やエネルギー消費量と体力の関係を示したものが表4である.有意な相関関係がみられたのは,%Vo2max平均値と背筋力(r=0.615,p<0.05),脚伸展力(r=0.601,p<0.05)およびPWC170(r=0.523,p<0.05),心拍数最高値と垂直跳(r=0.541,p<0.05)およびPWC170(r=-0.528,p<0.05),エネルギー消費量と皮下脂肪厚(r=0.749,p<0.001),握力(r=0.523,p<0.05),背筋力(r=0.765,p<0.001),脚伸展力(r=0.641,p<0.01)およびPWC170(r=0.788,p<0.001)であった.
 本研究の被検者は1年生から3年生までいたので,表4でみられた有意な相関関係には発育の影響が含まれていることを考慮し,体重の因子を除いて偏相関係数を算出した結果を表5に示した.有意な相関関係がみられたのは,心拍数平均値と皮下脂肪厚(r=-0.524,p<0.05),心拍数最高値と垂直跳(r=0.542,p<0.05)およびPWC170(r=-0.686,p<0.01)であった.


Table 1. Anthropmetric characteristics of the subjects.


Table 2. Physical fitness characterics of the subjects.




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