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 要  約
 本研究では,運動部活動としてサッカーを中学校期から継続している高校生を対象に,下肢筋群の筋厚と筋力および間欠的スプリント走時の発揮パワーを測定し,発育期における特定のスポーツ活動への参加が筋の形態と機能およびパワーの持続性に及ぼす影響を検討した.その主な結果は以下の通りであった.
 1) 大腿および下腿の筋厚および等速性脚伸展力および屈曲力に,学年による有意な差は認められなかった.また,先行研究の結果から引用したサッカーオリンピック代表選手および一般成人男子との比較において,本研究の被検者はオリンピック代表選手に比べ大腿筋厚が有意に低い値であったが,一般成人より大腿後および下腿前の筋厚で有意に高い値を示した.
 3) 間欠的全力走(5秒間全力走を10秒間の休息を間にはさみ10回繰り返し)における1試行毎の体重当たりの平均パワーは,3年生が2試行目および5〜10試行目において,2年生が7〜10試行目の値において,それぞれ1年生より有意に高い値を示した,また1〜3試行目および8〜10試行目の平均パワーの平均値から算出した低下率は,2年生(17.7±3.0%)および3年生(20.7±2.4%)が1年生(27.5±1.2%)より有意に低いものであった.各試行における体重当たりの平均パワーおよび低下率に,2年生と3年生の間で有意な差は認められなかった.
 以上の結果から,高校期における運動部活動レベルでのサッカーの実施は,仮に実施者が中学校期からの経験者である場合に,筋の形態および最大筋力に対する効果は低いものの,間欠的全力運動におけるパワーの持続性の改善には有効であると考察した.


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