中学生女子バレーボール部員の部活動への意識と部員−顧問間の相互理解度との関連
まとめ
本研究の研究の結果から,以下の知見を得た.
1)部員−顧問間の相互理解に対する部員の主観的評価の高さは,部活動への積極的な意識や望ましい競技意欲と関連を持つものであった.
2)部員−顧問間の相互理解に対する顧問の主観的評価の高さは,必ずしも積極的な意識や望ましい競技意欲と関連を持っておらず,いくつかの側面においては逆に消極的な方向と関連を持っていた.
3)部員の部活動に対する意識や競技意欲は,学年が進むにつれて多くのカテゴリーや尺度で消極的になる傾向にあった.
4)部員−顧問間の相互理解についての部員並びに顧問の主観的評価は,部員の学年の進行とともに増大する傾向にあった.
5)部員理解度並びに顧問理解度についての部員の主観的評価と顧問の主観的評価には差が見られ,顧問の主観的評価がより大きかった.また,この差は学年が進むほど増大する傾向を示していた.
6)部員理解や顧問理解に対する部員と顧問との主観的評価のずれが小さいほど,部活動への意識や競技意欲が望ましい方向となる傾向が認められた.
7)部員−顧問間の相互理解について,0%(全くわからない)という回答をする部員については(場合によっては顧問についても)何らかの心理的・社会的ケアが必要となるのではないかと思われる.
なお,上記3),4),5)は,前年度研究の結果の一般化の可能性を示すものであった.部員−顧問間の相互理解は,部員の部活動への意識や競技意欲の積極性に影響を及ぼすものであった.とりわけ,部員の主観的評価を高めること,部員の主観的評価と顧問の主観的評価との差を小さくすることが,部活動への意識や競技意欲を高める上で重要であると考えることができる.
(注1)対象が中学生であることを考慮してTSMIのNQ141「たばこなど体の害になるようなものは,なるべく避けるようにしている」を「食べ過ぎ,飲み過ぎ,睡眠不足など体に悪いものは,なるべく避けるようにしている」に変更した.
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