体育科学センター第8回公開講演会講演要旨 2
幼児の体力の特徴と運動指導
勝部 篤美
子どものからだは,おとなのからだを、そのまま小さくしたものではない。それと同様に、子どもの体力は、おとなの体力を、
そのまま縮小して考えてよいものではない。子どもには子どもの発達段階があり、それに応じた体力的な特徴が見られる。
そこで、まず幼児の体力の特徴を知り、そのうえで幼児の体力の発達段階に即した身体運動の内容と方法を吟味することが
必要となろう。
1.幼児の体力の特徴
(1)神経機能の面での特徴
神経機能の発達は幼児期に著しく、知覚運動反応のはやさ(敏捷性)や、身のこなしの器用さ(巧繊性)などは、急速に発達する。
5歳児の神経機能は、成人の2/5〜1/3程度の水準にあると考えられる。5歳児の体重は成人のほぼ1/3程度であるので、5歳児の
神経機能はからだの大きさの割合に比して、やや良好であるといえる。神経機能の発達が幼少時にきわめて著しいというこ
とは、この面での向上の下地がができているわけで、この時期にできるだけ運動の経験を豊かにして、すばやさ、器用さなど
を身につけることを考えるべきである。
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図 1 降下緩衝能----調整力の発達
(末利博の研究より勝部篤美作図)
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図 2 とびこしくぐり(勝部篤美)
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名古屋大学
於:国立教育会館大会議室 昭和55年7月12日
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