Fig. 1. Result of sitting trunk flexion.
柔軟性テストとして、背中握手と長座位体前屈の測定を行ったが、男女共に背中で両手を触れる(あるいは握手できる)者はほ
ととんどいなかった。この結果は加齢に伴う肩関節の可動範囲の減少を示唆するものであろう。一方、木村ら(1995)2)は都市に
在住し、「すこやかスポーツ教室」や「すこやか講座」に参加した40歳から92歳の中高年者を対象に体カテストを行っている。
図1は長座位体前屈の結果を示したが、われわれの測定した被検者特に男性の長座位体前屈の成績は木村らのそれよりややよ
い。また開眼片足立ちについてもほぼ同様の傾向が認められる(図2)。現在、何故このような結果となったかの理由については明
らかではない。この点については今後の検討課題かもしれない。
最大酸素摂取量は、ヒトの全身持久性能力(狭義の体力)の指標として国際的にも広く採用されている。体力の指標としての最
大酸素摂取量の再現性、信頼性は高い。しかしながら、最大酸素摂取量を測定するためには被検者を疲労困鱒に至るまで最大運動
を行わさせなければならいことから、高齢者にはかなり危険な運動負荷試験となる。また各種の持久走テストは、最大酸素摂取量
と密接に関係することが明らかにされているが、高齢者に全力で疾走させることはやはり安全性という面で問題があるといって
よいだろう。
今回、安全性、用具、簡便性などといった観点から、シャトルウォーキングテストを用いて高齢者の全身持久性能力を評価しよう
とした。その結果、3分間歩行距離の平均値(標準偏差)は、男性215(28.9)m、女性212(16.5)mであった(表6)。先に述べた木村ら(1995)2)
のシャトルウォーキングの結果(70歳:男性219m、女性205m)と比較するとほぼ同じである。20歳の最大酸素摂取量を100とした時,
20歳以降における最大酸素摂取量の加齢に伴う減少率は1年およそ1%であることが知られているが、田路ら(1992)15)によればシ
ャトルウォーキングの加齢変化も最大酸素摂取量のそれと非常に似ている(1年当たり1.02%)と報告している。したがって、シャ
トルウォーキングテストの結果は、全身持久性能力あるいは身体の老化度を敏感に反映すると考えられる。
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