要 約
高齢者の歩行における重心動揺と足の動きの特徴を探るため、健康な高齢男性15名(64-87歳)、同女性29名(62-84歳)、若年
男性20名(18-26歳)、同女性16名(18-26歳)に自由歩行を行わせ、このときの動作を側面と正面からビデオカメラで撮影して
三次元的に分析し、,下の結果を得た。
1.歩行速度は男女ともに若年群より高齢群が遅く、その原因は歩調ではなく歩幅の狭さにあったが、この歩幅には身長差が
影響していた。
2.同一速度で比較した歩幅と歩調は、身長差を考慮すると、高齢-若年間で差がみられなかった。
3.スイング足の最小爪先高は、男女とも高齢群の方が有意に高く、身長差を考慮してもこの傾向は変わらなかった。
4.歩隔は、女性の場合に高齢群の方が若年群より明らかに狭く、足向角は男性の場合に高齢群のほうが明らかに大きかった。
5.重心の上下動は、男性の場合、同じ歩行速度で比較すると高齢群の方が若年群より大きかった。
謝 辞
本研究を行うに当たり、被験者の協力と会場の設営で、木村みさか教授(京都府立医科大学医療技術短期大学部)に多大の
ご尽力を賜った。記して、感謝の意を表します。
文 献
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1)
- Alexander, R. McN. : Estimates of speeds of dinosaurs. Nature 261 : 129-130, 1976.
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2)
- Ferrandez, A.M., et al. : Slowness in elderly gait. Exp. Aging Res. 16 : 79-89, 1990.
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3)
- Fileley. F.R., et al. : Locomotion patterns in elderly women. Arch. Phys. Med. Rehab. 50 : 140-146, 1969.
-
4)
- Hageman. P.A. and Blanke. D.J. : Compari-son of gait of young women and elderly women. Phys. Therapy 66 : 1382-1387, 1986.
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5)
- Himann. J.E., et al. : Age-related changes in speed of walking. Med. Sci. Sports Exerc. 20 : 161-166, 1988.
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