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 研究方法
 1.対象
 対象は健康な女子学生48名であり、平均年齢20.1±0.5歳(±SD)、身長157.8±5.0cm,体重51.1±5.7kgの者であった。

 2.方法
 (1)重心動揺の測定
重心動揺の測定は、グラビコーダGS-10TypeA(アニマ)を用いて行った。被検者の足底を、重心動揺計 台上に示されている足底型線に沿うようにして、裸足で立たせた。両足縁を軽く接し、両上肢は体側に接して垂らした自 然の直立姿勢(ロンベルグ姿勢)を30秒間維持させ、開・閉眼でそれぞれ交互に2回づつ測定した。なお、開眼検査の場合は 、正面前方約1m隔て、眼の高さに設定された壁面上の視点を注視させつつ測定した。重心動揺の測定では、30秒間の総軌跡 長(LNG;cm)、単位時間当たり軌跡長(LNG/T;cm/sec)および単位面積あたり軌跡長(LNG/E.A.;cm/c?)などを求めた。また、 閉眼時と開眼時のLNGおよびLNG/TおよびLNG/E.A.の比(ロンベルグ比)を算出し、姿勢維持における体性感覚入力の寄与 の程度を推測する指標とした。

 (2)片足立ち保持時間の測定
 2人一組となり、一方を検者、他方を被検者とし、ストップウオッチを用い、片足立ち保持時間の測定を開・閉眼でそれぞれ 交互に3回ずつ行わせた。片足立ち姿勢は利き足を支持足として、両手を軽く腰にあてさせ,床から足を離した時点から支持 足以外の身体の一部が床面に触れた時点または腰にあてた手が離れた時点まで、を片足立ち保持時間とした。なお、開眼片足 立ち姿勢保持時の視点の位置は、重心動揺検査の場合とは異なり自由とした。閉眼時と開眼片足立ち保持時間の比を算出し、 重心動揺解析の場合と同様姿勢維持における体性感覚入力の寄与の程度を推測する指標とした。

 (3)握力の測定
 スメドレー式握力計(Hand Dynamometer)を用い、握力計の指針を外側に向け、人指し指が第2関節でほぼ直角になるように 調節し、直立姿勢で両足を左右に軽く開き、腕は自然に下げ、握力計が身体や衣服に触れないように指示した。左右それぞれ3 回ずつ測定した.

 (4)背筋力の測定
 通常の背筋力計(YAYOI)を用い、十分に測定間隔を置き3回測定した。被検者は背筋力計の踏み台上に立ち、膝を伸ばしたまま 順手で把手を握り、被検者の上体が30前方に傾くよう背筋力計の鎖の長さを調節させ,測定した。なお、握力や背筋力測定値は 実測値のみならず体重1kg当たりの握力(比握力)および背筋力(比背筋力)も算出した。

 (5)運動歴の調査
 調査用紙を作成し、中学、高校時代および現在の運動実施状況や運動種目、期間、運動実施頻度などを調査した。なお、統計処理 法として、運動歴を有する者(EX群)とない者(N-EX群)の比較や閉眼と開眼時の測定値間の比較には対応のない場合のStudentの t 検定を用いた。また、種々のパラメータ間の相関係数の検定にはピアソンの相関係数検定法を用い、いずれの場合も確率水準5% を有意限界とした。


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