研究結果
1.日常生活動作の遂行レベル、転倒経験の有無
調査1では、Yoshitakeら13)が考案している、日常生活動作の遂行レベルと転倒経験の有無に関する7項目のすべてにおいて、支障
を感じていないし転倒経験もないと回答した被検者と、1つ以上の項目に支障を感じる、あるいは転倒経験があると回答した被検
者に大別されたため、結果の集計を“支障なし”群と“支障あり”群に分けて行った。人数の内訳は、“支障なし”群が男性111名、女
性133名、“支障あり”群は男性26名、女性105名であった。本研究の“支障あり”群には1つ以上の項目に支障を感じる被検者と転倒
経験があると回答した被検者が含まれており、両者を分離した分析は行っていない。調査2a、bでは6つの日常生活動作について
「支障を感じる」と回答した被検者はひとりもいなかったが、過去1年間の転倒経験の有無については、調査2aでは30名中9名が、
調査2bでは21名中7名が「ある」と回答した。そこで、調査2a、bでは“転倒あり”群と“転倒なし”群の2群に分けて処理を行った。
2.“支障なし”群と“支障あり”群の比較(調査1)
表2に調査1の結果を男女各2群に分けて示した。“支障あり”群の両脚の体重あたり脚伸展パワー(男性12.3W/?±3.8W/?、
女性7.7W/?±2.5W/?)は“支障なし”群(同14.1W/?、±3.9W/?、9.3W/?±2.6W/?)より有意に低く(それぞれ、p<0.05とp<0.001)
、同様に、“支障あり”群の両脚の体重あたり最大等尺性脚伸展筋力(同0.9kg/kg±0.3kg/kg、0.7kg/kg±0.2kg/kg)は“支障なし”群(同
1.0kg/kg±0.3kg/kg、0.7kg/kg±0.2kg/kg)より有意に低かった(それぞれ、p<0.05とp<0.01)。
3.“転倒なし”群と“転倒あり”群の比較(調査2a、b)
調査2の結果を表3(調査2a)と表4(調査2b)に、それぞれ2群に分けて示した。両脚の体重あたり脚伸展パワー(表3)は“転倒なし”群
が11.3W/?±2.7W/kg、“転倒あり”群が12.7W/?±3.0W/?で、両群間に統計的に有意な差は認められなかった。また、歩行能力(10m直
線歩行時間、10mジグザグ歩行時間、3分間シャトル歩行距離)にも、両群間で有意な差はみられなかった。片脚の体重あたり最大等尺
性膝伸展筋力(表4)は“転倒な”群が0.48kg/kg±0.09kg/kg(右脚)と0.50kg/kg±0.12kg/kg(左脚)、“転倒あり”群が0.59kg/kg±0.17kg/
kg、0.52kg/kg±0.18kg/kgと、どの項目においても統計的に有意な差は認められなかった。また、背筋力と垂直跳び、反復横跳びのいず
れの項目についても、有意な差は認められなかった。
Table 2. Physical and motor performance variables classified by the subjective complaint in Study 1 .
Table 3. Physical characteristics, walking abilities and leg extension power in Study 2a.
Table 4. Maximal isometric knee-extension strength and other motor performance in Study 2b.
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