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 [岩岡班] 身体的に自立した生活を営むための下限となる体力レベル、およびそのレベルと“転倒”との関連について、郡部およ び都市部に居住する高齢女性(60歳〜70歳:289名)を対象に、主に下肢筋群の伸展パワーおよび最大等尺性膝伸展筋力、日常生活動 作の遂行レベル、転倒の有無について情報を収集した。その結果、1)女性の場合、日常生活動作を支障なく行え、転倒経験もない群の 脚伸展パワーおよび膝伸展筋力が、支障や転倒経験のある群より有意に高かった。2)男性も“支障なし”群が有意に高い値を示した。 3)脚伸展パワーが男性では14W/?、女性では9W/?より高ければ、通常の日常生活動作を支障を感じずに遂行出来る可能性が高か った。4)膝伸展筋力では男性が1.0kg/kg、女性が0.8kg/kgがひとつの目安と考えられた。5)比較的体力レベルの高い高齢者の場合に は、下肢筋群の筋出力が必ずしも一義的に“転倒”問題に影響を及ぼしているわけではないことがうかがわれた。

 [荒尾班] 農村地域に居住する65歳以上の自立生活を営む高齢者の77.9%に相当する731名を対象に、身体的生活機能としての生 活体力と医学的健康指標との関係について総合的な検討を行った。その結果、1)生活体力と既往歴などについては、男性では入院、脳 卒中、身体の痛みで、女性では臥床の経験、身体の痛みでそれぞれ有意な関係が認められた。2)形態・生理機能検査については、男性で はいずれの項目とも有意な関係は認められず、女性ではX線検査による胸部径との間にのみ有意な正の関係が認められた。3)血液・ 尿検査については、男性では総コレステロール、HDL−コレステロール、γGTP、およびβ2−マイクログロブリンで、女性ではHDL− コレステロールでそれぞれ有意な関係を認めた。これらの結果は、いずれも健康状態が良好と思われる者ほど生活体力が高い関係 を示しており、これらの要因は個々にあるいはそれらが相互に関連し合って生活体力との間に有意な関連性を示すものと推察さ れる。

 [田畑班] 週4日以上勤務していて、会員制の水泳トレーニングも集団で行っている40歳以上の勤労女性を対象として、最大酸 素摂取量、骨密度および脚伸展パワーを測定した。その結果、勤労中高年女性の最大酸素摂取量は、水泳トレーニングに週1.5回以 上参加すれば増加することが明らかになった。また、腰椎の骨塩量に対しても水泳トレーニングは良好な影響を与える可能性が 示唆された。



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