表1 顧問の指導目標
表2 顧問が指導上大切にしていること
また、より広い視点からは、運動部活動は競技に関わる対応能力の獲得だけでなく、日常生活における対応能力の獲得にも寄与
しているとし、スポーツ経験と人間形成の関係の重要性も指摘されている(上野、中込5))。このように、運動部活動参加者が、運動
部活動に対する積極的な意識を持ち、望ましい人間形成を実現するためには、運動部活動がそれを明確な目的として運営・指導
されることが必要である。
本研究では、競技力の向上だけでなく生涯スポーツや人間形成も同様に重視した運動部活動における指導の在り方、とりわけ
指導者(以下顧問とする)が個々の部員の運動部活動への意識を含む心理的特徴を適切に把握し指導を行うことの重要性に着目
し、個々の運動部員に対する心理学的側面からの調査と情報提供とをどのように行ったらよいかを明らかにすることを目的と
した。具体的には、部活動に対する意識と将来のスポーツ参加に関わる一連の研究(落合たち6,7,8))に基づき作成した運動部員
へのアンケートやスポーツマンに対する心理テストであるTSMIとSPTT、並びにパーソナリティ-テスト(バウム-テスト・文章
完成法テスト)を行い、その結果から部員一人ひとりの心理的特徴に関する情報を顧問に提供することが顧問の部活動指導にと
って有効であるか否かを検討することとした。
研究方法
1.調査期間
平成10年2月20日〜5月31日
2.調査対象
O市立S中学校サッカー部員:男子36名(1年生24名、2年生12名)ならびに同部の顧問教師(対象中学校の体育担当教員)。
対象とした運動部の特徴ならびに顧問の指導方針は以下の通りで、競技的・技能的側面ばかりでなく、精神的・人間的側面で
の成長も指導目標とした運動部である。
1)顧問の性別・年齢 男性・36歳
2)顧問のサッカー歴 27年(運動部活動指導歴を含む)
3)運動部活動指導歴 14年(対象運動部での指導は1年目)
4)対象運動部の競技レベル O市で1〜3位(O市は県で16位程度)
5)顧問の指導目標
対象運動部の顧問の指導目標は、表1の通りである。
6)顧問の指導方針
対象運動部の顧問が指導の上で大切にしていることは、表2の通りである。
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