血流は、直線的に走行する血管については中心部が最も高速と考えてよいが、生体では分岐部または合流部から距離が短い場合、屈曲している場合が少なからず見られ、このような場合にはしばしぱプロファイルの最大流速部が中心から偏位している(図3)。その2次元プロファイルを作成する対策として、以下の方法を行った。まず、プロファイルを作成する基準線を血管の最外側と最内側の通るように設定することで、最大流速部を通りかつこの血管を代表するプロファイルを得る。このプロファイルを血管径の中点で外側と内側の2つに分け、それぞれについて別々に円形の血管断面を想定し、プロファイル上の各点の流速値が同心円上に分布していると仮定することでおのおのの2次元プロファイルを作り、合成させた後に流量として計算した(図4)。
実際の計測の手順は、まず通常のカラードプラ法にて血管の中心を通る2〜3拍分の良好な長軸断面像を描出してフリーズさせる。この時のカラードプラ法の設定は、遅い流れもとらえられるフィルタを使用すること、ノイズが目立たないようなカラーゲイン設定にすること以外に、折り返しがないように注意する。次に、血流量を計測したい血管断面のプロファイルを作成するために血管に垂直な基準線A-Bを設定すると、画面の右側に縦軸に距離、横軸に速度を表示したプロファイルが自動的に描かれ、このプロファイルを2次元に展開することで流速が算出される。なお、角度補正は、ビームと血管のなす角度について行う。1フレームのプロファイルを表示したときに得られる値は、血流の存在する領域の長さ、速度プロファイルでの平均流速、このフレームから算出される瞬時流量である。また、線内の各点の測定値は、計測用のカーソルをその部位に設定することで表示可能である。なお、カラードプラ信号の範囲を自動的に血管径として認識させることで、表示領域内で血管が時間的に変位することに対処している。
1心拍分の信号の取り込みについては、同時に記録した心電図波形を参考に、装置に内蔵されたループメモリを用いて行い、計測したい連続フレームの最初と最後を指定し計算を開始させる。計測値は、設定後1心拍分の流量および分時流量が5秒程度で表示される。
なお、速度プロファイルのグラフの座標は線形で右側が正である。速度の単位はcm/sec、1心拍分の流量と分時流量の単位はそれぞれml/beat、ml/minである。
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