ヘルベッサーR100?,ロプレソール40mg,カルデナリン2?,アルダクトンA25mgのうちのどれか1つを服用中の患者はL群に分類した。M群は上記の降圧薬のうち2から4種類を併用していた。
?.結果
対象患者全体の年齢、血圧およびBMIの平均値はそれぞれ72.3±9.3歳、138.7±15.2/74.6±8.8mmHg、23.5±3.6であり、各食品の摂取状況と血圧との間には有意な相関を認めなかった。降圧療法の強度別検討では、血圧はL群(138.4±15.2/76.1±7.9mmHg)、H群(137.5±13.8/74.2±9.0mmHg)、M群(141.5±17.9/73.6±9.2mmHg)の3群間に有意差を認めず、高血圧の重症度にも差がなかった。食事内容についてはL群は果物(p<0.05)と海藻類(p<0.01)のスコアが他の2群より有意に高く、大豆製品についても同様の傾向を示した(図1)。全食品のスコアの和はL群(21.4±3.7)はH群(19.5±4.0)、M群(19.6±4.0)に比べ有意に高かった(図2)。一方、塩分摂取については3群間に有意差を認めなかった。年齢、BMIおよび運動習慣など他の因子も対象全体の血圧と有意な相関を認めず、3群間にも有意差を認めなかった(表2)。1日の服薬コストはL群(90±31円)はH群(117±19円)、M群(233±68円)に比べ有意に低かった(図2)。
?.考察
外来通院中の高血圧患者において食品摂取頻度と血圧のコントロール状態との関連を横断的に調べた結果、果物、海藻類、大豆製品などをよくとる患者は、血圧コントロールに要する降圧薬の内服量が少なく、1日の内服コストも低かった。この結果は、高血圧患者がこれらKやMgの豊富な食品を日常的に摂取することにより、降圧剤の必要量を減らすことができる可能性を示唆している。より少量の降圧剤でコントロールすることは、薬剤の副作用を軽減し、医療経済的にもコスト削減につながることが考えられ、今後臨床試験による確認が望まれる。
?.結論
降圧薬を服用している外来高血圧患者においてカリウム(K)やカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)の豊富な食品の摂取頻度と血圧のコントロール状態との関連を調べた結果、果物、海藻類、大豆製品などをよくとる患者は、血圧コントロールに要する降圧薬の内服量が少なく、1日の内服コストも低かった。
?.謝辞
本稿を終えるにあたり、本研究を支援していただきました日本財団に対し、厚く御礼申し上げます。
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