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[?]食事の摂取内容が高血圧のコントロール状態に影響を与えるか否かの検討


小野 歩:国保大月病院
古谷裕道川上雅史、田中拓、川村欣之、
柴岡みどり、矢野順子、浅井有希:国保大月病院
松田佳子:大月町保健福祉課

?.はじめに

 近年、高血圧の食事療法として減塩以外に、KやCa、Mgの摂取が注目されており、臨床研究においてはその降圧効果が報告されている。これら栄養素の摂取は非薬物療法単独でその効果が期待できるだけでなく、降圧薬内服中の高血圧患者においても降圧薬の必要量を減じる可能性がある。今回、内服治療中の外来患者において各栄養素の豊富な食品の摂取頻度と血圧、降圧療法の強度およびコストとの関連について調べた。

?.方法

 当院の外来高血圧患者250名に対し、質問票(表1)により食品摂取頻度を調べ、190名から回答を得た。野菜、果物、大豆製品、牛乳、乳製品、魚海藻類の7品目の摂取頻度を(1)ほとんど食べない、(2)週1-2回、(3)週3-6回、(4)毎日食べるの4つに分類し、スコア化(1-4)した。個々の食品のスコアおよび全食品のスコアの和を食事内容を表す指標とした。塩分摂取ついては味付けについて(1)薄い、(2)どちらとも言えない、(3)濃いの3つに、塩辛い物について(1)ほとんど食べない、(2)時々食べる、(3)しばしば食べるの3つに分類し、塩分嗜好の指標とした。他の生活習慣として運動習慣(1日の歩行時間)、飲酒および喫煙習慣を調べた。肥満度としてBody Mass Index(BMI)を求めた。高血圧の重症度はWHO分類によった。服薬状況については降圧薬の種類、量、一日の服薬コストおよびコンプライアンスについて調べた。血圧のコントロール状態は調査時とその前後3回の平均値で評価した。まず、対象患者全体の血圧と各因子との相関を調べた。次に、対象患者を降圧療法の強度によりL群(低用量の単剤)52人、H群(高用量の単剤)95人、M群(複数の降圧薬を併用)43人に分けて3群間に各因子の差を認めるか否かを検討した。降圧薬の種類と一日の服薬量は、LおよびH群はノルバスク2.5,5?;バイロテンシン5,10mg;ペルジピンLA20,40mg;アダラートL20,40?;レニベース5,10?;チバセン5,10mg;チノーミン25,50いずれか1つを服用していた。

 

 

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