4.心筋の伝導異常
DMの心臓合併症で最も多く普遍的に認められるのは伝導異常とされている(5,6,27,28)。第一度房室ブロックをはじめとし、非特異的心室内伝導障害、脚ブロック、心房性不整脈、心房細動、心房粗動そして心室性期外収縮などが報告されている(37,9,33,38)。ごく最近、Melaciniらは(28)、重度の房室伝導障害や心室内伝導障害はCTG反復配列と相関があると報告している。本研究でも伝導異常を有する群ではCTG反復配列が大きい傾向にあり、年齢が高い傾向にあったが、統計学的には有意でなかった。しかし、伝導障害を有する群では有症候期間が有意に長かった。DM患者の刺激伝導系に関する病理学的検討を加えた報告は少ない(7,32,33)。主な所見は刺激伝導系の線維化と脂肪浸潤などの非特異的変化であり、特にヒス束に変化が強いとされている。この結果、房室伝導障害や脚リエントリーによる心室頻拍が出現するものと考えらる。
5.骨格筋障害と心筋の拡張障害
本研究で心筋の拡張障害と骨格筋重症度スコアとの相関を検索したところ、拡張能パラメーターで有意な相関を認めたのはEのみであった。骨格筋障害と心筋の拡張障害は相関ある可能性あるが、これらの相関については今後さらに症例を増やし検討が必要であると思われる。
? まとめ
DM患者において、骨格筋重症度スコアはCTG反復配列、年齢、有症候期間と正の相関を認めた。DM患者では伝導障害を約半数に認めた。伝導障害を有する群は有さない群に比し有症候期間が長いが、CTG反復配列の大きさに差はなかった。DM患者では心臓の収縮能に関しては正常対照と差はないが、拡張能は低下していた。CTG反復配列の大きさは心筋拡張障害を予測する因子とはならなかった。
謝辞
本研究を助成して下さいました日本財団に対し深く感謝いたします。
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