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1−4 地方公共団体における情報システムのアウトソーシング

 地方公共団体における情報処理は民間企業と同様に1960年代から始まっており、コンピュータの導入は大阪市が1960年に大型コンピュータを導入したのが最初である。当初主流であった大型コンピュータはコストが高かったこと、また、アプリケーションの未発達から情報処理できる業務が限定されていたこと等の理由から、導入したのは大規模な地方公共団体がほとんどであり、小規模な地方公共団体を中心に外注するケースが多かった。しかしながら、近年、コンピュータのダウンサイジングにより、地方公共団体におけるコンピュータの導入も容易になってきており、これに伴い、委託団体数は減少している。しかし、これは「コンピュータの導入により外注していた処理を内部に移した」という意味合いが強く、システムやソフトウェアの開発、運用管理は依然として外注する場合が多い。図4-6に示すように電算業務の外注処理費は増加傾向にあり、低下傾向にあった電算関係経費に占める割合に関しても、1996年から98年にかけて再び高まっている。
 また、アプリケーションの多様化やパソコンの普及等に伴い、外注形態も複雑になってきており、一概に「アウトソーシングしている」、「していない」と区別できない状況になってきている。例えば、近年のCSSの導入が進んでいるが、比較的高度なサーバの運用管理はアウトソーシングし、クライアントであるパソコンは情報システム部門が運用管理することが想定される。このほか、バックアップデータの保存や、ヘルプデスク業務等を個別にアウトソーシングすることも考えられ、昨今ではインターネットの普及に伴いホームページの作成やWWWサーバの管理をアウトソーシングする事例も増えている。
 多摩市が中心となり行った『アウトソーシングによる電算業務運用の調査研究』(1995年(財)地方自治情報センター共同研究)によると、人口12万5千人から40万人の84市を対象に行った調査から表4-4に示すような情報システムの運用形態の傾向が見られる。しかしながら、実際には30とおりの形態があり、これからも個々の地方公共団体において多様なアウトソーシングの取り組みが行われていることがうかがえる。

表4−4 地方公共団体の情報システムの運営形態の傾向

・基幹業務は内部処理している。
・プログラムは委託開発している。
・汎用機のオペレーションはアウトソーシング(一部含む)している。
・コンピュータは自庁内に設置している。
・庁内に情報システム部門がある。
・運用を所管にオープン化していない。


図4−6 地方公共団体における情報システムに係る委託費の推移

 

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