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(4) 行政評価

 近年、行政改革や景気の低迷に伴う税収の停滞等を背景として、地方公共団体において行政評価が注目されている。従来の行政は計画(PLAN)と実施(DO)に偏重しており、評価(SEE)が十分に行われていたとは言えず、一方で、近年、行政の情報公開へのニーズも高まっている。このようなことからいくつかの地方公共団体において欧米の事例等を参考とした行政評価への取り組みが進められている。本来、情報システムの評価は行政評価のサブシステムであり、行政評価と整合性を図りながら実施することが望ましい。(島田達巳『地方自治体における情報化の研究』1999年)現状では、それぞれが個別に行われていたり、どちらか一方、もしくは両方行われていない地方公共団体もある。
 行政評価の代表的な事例としては北海道、東京都、岐阜県、三重県等があり、行政評価システムの構築が進められている。三重県では1996年から行政改革の一環として「事務事業評価システム」を導入しており、「事務事業目的評価表」を用いて目的、成果、環境変化等の項目から事務事業の見直しを行っている。1997年度に行った事務事業の見直しでは、約3,200あるすべての事務事業のうち202の事務事業の廃止を決定した。また、1998年度からは事務事業の見直しも含め、図2-3に示すような考え方に基づく「行政システム改革」に取り組んでいる。
 一方、欧米では我が国より早く行政評価が普及しており、米国では人口100万人以上の地方公共団体の約9割が行政評価を導入している。特に有名なのがオレゴン州の実施しているオレゴン・ベンチマークであり、同州では経済、教育、環境、安全等の92項目を指標化し、類似機関とパフォーマンスを比較するとともに、指標の比較等を具体的な政策目標や予算配分に反映させている。
 上山信一『「行政評価」の時代』によると、行政評価は政策評価と執行評価に大きく分かれる。政策評価とは、住民のニーズ等から具体的な政策目標を作成した後、現状を踏まえ数値目標を設定し、ある期間ごとにその目標の達成度を評価するというものである。執行評価とは、ごみ収集、水道、道路整備等の行政サービスにおいて、1時間当たりのゴミ回収量等のような具体的な効率指標に基づき評価するものである。

 

 

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