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(2) 情報システムの経済性評価の提案

 本調査で行った経済性評価の検討を踏まえ、以下に示すような経済性評価の手順を提案する。

評価実施のコンセンサス形成
経済性評価を実施するためには全庁的な協力が必要であり、地方公共団体内において評価実施に関するコンセンサスを形成する必要がある。また、複数の地方公共団体において比較評価を実施する場合は、これらの地方公共団体間でのコンセンサス形成も不可欠である。


評価の体制整備                     ↓
情報システム部門を中心に体制を整備し、定期的に評価するために、評価を業務として明確に位置付けることが望まれる。複数団体間の比較評価を行う場合は、規模等が類似する団体や、近隣市町村において連携体制を整備する必要がある。


評価方法の検討                     ↓
基幹となるネットワーク・システムを対象として評価を行うことが望ましい。また、評価に必要な項目を整理するとともに、各項目に該当する情報を抽出するためユーザーへのアンケート調査、ヒアリング調査等の実施が必要である。これらの調査に際しては、経済性評価に関わる情報だけでなく、定性的な効果、問題点等、総合的な評価に寄与する情報の抽出を行うことが望ましい。


調査による必要な情報の抽出             ↓
ユーザーの数が多い地方公共団体では、すべてのユーザーから情報を抽出することは困難であり、ユーザーの分布に近い形でサンプリングすることが望ましい。また、ユーザーが解答し難い項目の回答率を上げるため、回収方法の工夫等も必要である。


評価の実施                        ↓
単独評価では、総コストに対する各項目の割合、利用者数、端末数に対するコスト等を導きだし評価する。また、時系列的な評価では、前回の評価との数値をそれぞれ比較するが、この場合、評価方法が変更されていないことが前提となる。ほかの地方公共団体の比較においては、規模等が類似する場合は総コストで比較し、異なる場合は人口や予算規模等を基に平準化する必要がある。可能な限りほかの地方公共団体と比較評価することが望ましい。


運用管理の効率化方策の検討             ↓
問題点の特徴や比較評価した地方公共団体のベストプラクティス(最も良い事例)を基に、運用管理の効率化方策を検討する。経済性評価だけではコスト削減が重視される可能性があるが、効果とコスト削減はトレードオフの関係にある場合もあり、効果との関連を十分に考慮して効率化方策を選定する必要がある。


評価サイクルの構築                   ↓
情報システムの経済性評価は、1回の評価で完結するよりも、評価を基に改善目標を設定し、それを基に次の評価を行うといった、評価サイクルの構築に結びつけることが望ましい。評価のサイクル(周期)は、ある程度の期間をおき定期的に行うことが望ましいが、大きな情報ステムを構築した場合は、その前後において評価を行うことも考えられる。



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