図27 24時間血圧測定に基づいた血圧度数頻度図
(血圧ヒストグラム)
図の横軸は動脈圧,そして縦軸はその度数頻度で,実線は収縮期圧,点線は拡張期圧を示す。そうすると,収縮期圧も拡張期圧も二つの山に分かれ,血圧値の高いほうの山は活動期,そして低い方の山は安静あるいは睡眠時の血圧を表している。このような表現をすれば,それぞれのひとに特徴的な血圧の状態を,より正確に把握することができるし,また,種々の治療の効果も,より論理的に判断することができる。
高血圧患者についてとくに重要なことは,どのような患者の予後が悪く,どのような患者の予後がそれほど悪くないかを的確に知ることで,それにはただ1回の血圧の測定で判断することはできない。従って,上述のようなヒストグラムなどから,より多くの情報に基づいて予後の評価をするほうが判断の誤りが少ないと思われるが,少なくともこれまでのところ,24時間の血圧測定の平均値が臓器障害,とくに左室肥大とよい相関を示すことが知られており,その意味では診察室での測定値がもっとも臓器障害との相関が低く,むしろ家庭での自己測定のほうがすぐれていることが示されている。また,血圧の日内変動においては一般に日中に高く,睡眠中は低下する2相性の変化を示すが(dipper:凹型),高血圧の患者の中には睡眠中の血圧低下を示さないこともあり(non-dipper:非凹型),後者では予後が不良なことが知られている。
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