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図26 日常生活における血圧の変動
  Ps:収縮期圧 Pd:拡張期圧

ところが,日常の活動状態の血圧を測ることには,少なからず困難が伴い,実際に動脈内圧を直接測る方法では,いろいろな事故が生じることもあって,だれにでもできるというわけではない。最近では,振動法によるポータブルの血圧測定も可能になって(図25),患者の肉体的負担もそれほど大きくなく血圧の日内変動が知られるようになった。
 このように,いろいろな方法で1日の血圧を測定すると,血圧が非常に大きく変動していることがわかり,このような動揺の中から,そのひとを代表する血圧値を一つ決めることはきわめてむずかしい(図26)。医師がもっともらしく,「あなたの血圧は128/80です」というと,患者のほうでもそうだと思うわけであるが,それはある瞬間の血圧値にすぎない。このようにな血圧の24時間の変動は,ひとの日常生活における行動に伴って生じ,日内変動と呼ばれる。
 日内変動は非常に変わりやすいひともいれば,変わりにくいひともいるということで,それぞれに異なるが,その状態を端的に表す方法として,血圧値の度数頻度をグラフで表した血圧ヒストグラム(血圧度数頻度図)がある(図27)。

 

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