図6 Poiseuilleの法則
右の心臓では右心室で圧が少し高められて,肺動脈へいき,肺の細動脈,肺静脈,毛細管,そして左房へ向けて圧が下がる。このように循環系の中では,圧の勾配がみられ,全体としては,高圧系から低圧系に向かって圧の差に従い血液が流れる。
以上は,心血管系の縦の配列についての見方であるが,実際にはいくつもの臓器循環が横の配列をなしており,これが全体としてより高度な機序によって臓器ごとに円滑に循環が行われるように調節されている(図4)。そこで,この循環系全体の配列をみると,断面積は毛細管のところで著しく大きく広がっている(図5)。つまり,枝分かれを重ねていくということは,断面積を増しているわけで,断面積を増し,代謝の場を広め,血流量が多くなり,血液速度が低下することは,究極からみてここで生じる物質の交換をより行いやすくしている。図5からわかるように,断面積の狭いところを流れる時には血流速度は速いが,広いところでは遅くなり,この関係は川の流れに似ている。
このような圧と血流の関係を示したものがPoiseuilleの法則(図6)で,流体に対する抵抗(R)は,管の長さ(L)と,流体の粘度(η)に比例し,内径(γ)の4乗に逆比例する。従って,流量(F)はオームの法則から管の両端における圧勾配(P1-P2)に比例し,抵抗に逆比例するので,結局,管の内径に比例し,管の長さと流体の粘度に逆比例することになる。
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