言い過ぎて相手を傷つけてしまうことがあるからで,そうなると抜き差しならない状態になります。あらかじめ練習しておくと,一歩引いて同じことが言えるはずです。ひと呼吸置いて対応がきちんとできるようにしています。
それから家族とのミーティングをするようなとき,あるいは小さな子供と話し合いをするときなど,私は最悪の場面を想定して,それが起きたらこうしようと心構えをしていくと,そういう状況を恐れずに,怖じ気づかずに臨むことができます。謝る必要のあるときには謝ることもしなければならないと思います。
コミュニケーションのためのシステムづくり
チームとしてうまく機能するためには,コミュニケーションをシステムとして改善していかなければならないということもあります。患者の同じカルテを医師とナースが見ているかどうか。お互いの書いたメモや情報をお互いが読み合っているかどうか。その情報はどうやってお互いに伝達し合っているのか。それから守秘義務ですね,何を秘密として守るかということに対して相互理解があるかどうか。ミーティングをするときには何の目的で,どれだけの時間を予定しているかをあらかじめ決めてあるかどうか。それから,チームを維持していくためにはセレモニーのようなことが必要です。英国で私たちが儀式としてやっていることは,きちんと入れたコーヒーを1杯飲んで一日を始めるというようなささいなことです。ホスピスのコーヒーはまずいので,おいしいコーヒーをじっくり入れて一日を始めています。
それから合併症などを伴っているケースに関してはそれをレビューし,学習の足場にします。そして,これまでのやり方はいいかどうか必ず見直します。
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