お互いに弱いところをさらけ出すことができて初めてお互いに許し合える。それぞれが発言する権利があるのだということと,それぞれが意思決定に参加できる権利があるのだということをお互い同士認め合うことが大切なのです。それぞれのプロフェッションが意思決定に貢献できる各自の分野があるということもお互いに認識し合う必要があるわけです。
それから,先ほども話したように,それぞれ先入観をもって人をワクに納めがちということも認識する必要があります。それと同時に,われわれがほかの人たちに対してやはり同じ先入観をもった目で見てはいないかを反省してみる必要もあります。
意見の違いをどう調整するか
最後にもう一言だけ,意見の違いが起きたときにそれをどうマネージするかということをお話しします。戦争に勝つためにはいくつかの小さなことには負けることがあってもしかたがない。たとえば病院あるいは一般開業医に対してこちらが譲るということがあるかもしれない。しかし,時間をかけてきちんと対処していけば,最終的には戦いには勝つはずです。その結果,患者ケアがよくなるはずです。ですからまずは対応をするのであって,急速に反応してはいけません。それから,電話で話すよりはその人に面と向かってコミュニケーションをするほうがずっといい。メモでそれを送りつけるよりも,その人に会って話し合うことの大切さを認識してほしいと思います。
何年間かの私のホスピス勤務の経験からいえることは,言いにくいことを言う練習を自分でするということです。スタッフに言いにくいことを言わなければならないとき,私は「ちょっと練習させてね」と言って,気心の知れた同僚相手にそれをやってみたりします。
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