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 アメリカでは大学卒の看護婦と,看護専門学校卒の看護婦のほかに,日本の准看護婦に近い短期間の実践看護教育を受けたプラクティカル・ナース(practical nurse=PN)が働いてきました。そのほかに,フィジシャンス・アシスタント (physician'sassistant)という医師の診察や手術の介助をする短大卒程度の助手が働いています。

 上記の専門職のほかに,高校出身後の若者を病院の現場で訓練し,ある程度看護ができるnon-professionalの働き手を導入しました。これはナースを補助して,専門ナースが本来の意味での看護に要する時間をなるべく多くするようにととられた手段です。アメリカではこの無資格者を末端の看護力として使い始めています。この無資格の助手的存在が,ベッドメーキングや全身清拭,排泄に関すること,患者の移動などを担当し,さらにもう少し高度なレベルまで訓練された助手には,体温測定などの簡単なバイタルサインの一部の測定も受け持たせるといった,驚くほどの看護の足切りがまかり通っているのです。これも准看廃止を主張している日本の現状とあわせて考えてみるとどうなのでしょうか。

 一方,在宅ケアのウエイトが重くなっていますから,訪問看護婦の仕事も多く,そしてまた広がってきています。家庭を訪問して直接医療行為をすることももちろんですが,主治医と連絡をとりあって医療の指示を受けたり,あるいはまた患者さんや家族と頻回に電話でコミュニケーションをとりあいます。さて,このような状況下で提供されるようになった医療に,従来のような看護記録で患者のニーズに応えることが可能なのでしょうか。

 

 

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